TK from 凛として時雨 Studio Live for “SAINOU” ~Film Gig Emotion~を観て

2020年8月8日から3日間配信されたスタジオライブが、9月4日より全国9ヶ所の映画館で上映された。
劇場上映に際し5.1chサラウンドミックスをTKさんが手掛けている。

こちらのインタビューで、【インタビュー】TK from 凛として時雨、「実際のライブを超えている部分をどこかで作りたかった」(2ページ目) | BARKS

「自分がPAだったら、みたいな気持ちでミックスした」と語っているほか、未発表の新曲も5.1chサラウンドで聴けてしまう、今しか出来ないことを詰め込んだような計らい。
首都圏ではイオンシネマ板橋とヒューマントラストシネマ渋谷での開催で、どちらへも足を運ぶことが出来たので感想を綴っていく。

 

9月5日イオンシネマ板橋

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都内にイオンがあるとは。
映画館はレストラン街とともに最上階にあって、ライブ映像は一番広いスクリーンでの上映だった。
暗い通路に光のトンネルがある宇宙船のような入り口で検温とアルコール消毒をして、早めに席に着いた。
当たり前だけど、映画館な雰囲気に本当にここであの演奏観るのかと動揺した。配信ライブでも開始を待つ間に流れていたSEとペンギングッズに、早くも音の良さと画質の良さを感じて期待が高まる。

オープニングのカメラが録画開始する場面が好きすぎるので、大きなスクリーンでひとつひとつのカメラの画角に入ってくる人影をじっくり観た。
5.1chサラウンド自体も初めてなので、180度いろんなところから音が聞こえることに驚いた。
例えば、曲間に話し声がして後ろを振り返りそうになったが、自宅で配信を観たときのスタッフさんたちの会話だとすぐ気づいたり。後ろのスピーカーから聴こえるということがこんな感じとは。TKさんたちメンバーとカメラマンの間にいるような臨場感。
スマホとか画面の明度の違いなのかもだけど、劇場で観るスタジオライブはさらに暗かった!スマホで観て印象的だった虹のような光もあまり気にならないくらい。
凡脳のバキバキ感は手に汗握った。思わず立ち上がって拍手してしまいそう。
彩脳と蝶の飛ぶ水槽はギターがすごく前に出ていて好きすぎて痺れた。
katharsisのイントロが音数少なくて印象に残った。ポンポンポンが水切りの石のように自分の周りを一周していた。

TKさんのソロは特に自分の奥深くに入り込んで音を聴くとかステージを観るとかよりも、自分自身と対話するような没入感があるので、この曲のこの聴かせ方が凄かった!というような感想を書きたかったけどあまり出てこないくらいには没入感があった。
コロナ対策のため車で行ったので、交通量の多さに緊張が解けず五感鋭いまま。ドアが開いたりスマホのバックライト、ポップコーンの匂いなど…演奏とスクリーン以外の他人の気配が気になりすぎてしまったのは反省点。

 

9月13日ヒューマントラストシネマ渋谷

予定されていた期間から更に一週間追加されたり、不要不急の都内移動が制限解除されたり、雨の日曜日だったりと色々な要因が重なったので、リベンジも兼ねて。

電車も空いていて気持ちに余裕あったので、普段のライブ前のように音の浸透圧高める為、喫茶店へ。

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渋谷といっても落ち着いた場所。こんなところに映画館があるの知らなかった。コンパクトだけど快適な空間。
スピーカーに特徴があるらしく、すぐに空間が音で満たされて振動すら感じる音圧に興奮。
板橋よりギターが飛んでくるみたいな感じじゃなかったけど、蝶の飛ぶ水槽のギュイーンとか彩脳のキレキレさは目が冴えた。
反省を活かし一番前の座席で視界をてけふろだけにして没入感極めた。スクリーンが少し上にあるので見上げる感じも良かった。
Fantastic Magicで逆ダイしたくなった。
画面の切り替えに動体視力が追いつかなくてめまい気味だし耳鳴りもして満足度高い。

 

新曲について

『Yesworld 0828ver.』タイトルに劇場公開日にほど近い日付がついた録りたてホヤホヤ感のある新曲。タイトルの意味は令和ってことなのかな。乗ってる間に怖いところに着いてしまう描写でバンプの乗車権思い出したけど、少し前に金曜ロードショーで放送していたバックトゥーザフューチャーかも。奪わせないものの羅列に孤独があったの、私が好きなTKさんの感性。

 

絶望しても掴み取れるものがある。
TKさんが逆境で見せる強さは鋭くて切れそうな輝きがあると思う。
今まで積み重ねてきたものすべてを投げ打って、戦っていく姿勢というか。インタビューよりも情報量は少ないはずなのに、曲が雄弁に語っていると感じた。


板橋で初めて聴いた時は無性に焼肉が食べたくなって。身体がコロナと戦わなきゃって思ったのかも。
すべて個人の感想だけどこれはさらに極端に個人の感想だけど、渋谷で再度聴いた時、ああTKさんはもう元どおりの世界がくるとは思ってないんだなと思った。

何年もかけて変化していくはずのことが、この数ヶ月で急速に変わってしまって、今もなお、少し先の未来が予測し辛い。何が正しい選択なのかどう折り合いをつけるのか、その都度自分で見極めないといけない。
家とか地元に良い思い出がないので、配信ライブがライブと異なるのは、実生活と物理的な距離を取れないので、気持ちを切り離せないことが大きな原因。
都内の映画館でTKさんの聴かせ方のこだわりを知ることが出来たのは今しか出来ない良い体験だった。