凛として時雨 Perfake Perfect Tour in KT Zepp Yokohama 感想

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2021年1月19日、会場がある神奈川県を含めた11都府県で緊急事態宣言の発令中、

2019年12月28日のMUCC Presents『Trigger In The Box』2019.12.28 MUCC Presents『Trigger In The Box』@国立代々木競技場第一体育館 – ROCKの総合情報サイトVif 

以来、約13ヶ月振りに凛として時雨の有観客ライブが行われた。

 

昨年末ビルボードライブ公演を観に行く機会はあったが、コロナ禍になってライブハウスに行くのは初めて。

横浜駅からみなとみらい方面へ歩くと、真新しいビルが並ぶ一角に突如ブルーの柵が現れた。冷たい風が吹き荒れるなかソーシャルディスタンスを促す床の目印を次々と貼りつけるなど設営が進められ、物販ではビニールカーテン越しにフェイスガードマスク手袋を着けたスタッフが和やかに応対していた。

約一年間、ミュージシャンやライブハウスの試行錯誤や、それぞれのファンがもう二度とクラスターを起こさせないと自主的に対策しているのをSNSで見てきたが、その努力の世界が実態として目の前に広がっていて、通い詰めていたころのライブハウスとは色々なことが変わってしまったけど、すべてを記憶しておきたいと強く思った。

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本来であればスタンディングのフロアは椅子が並べられ、座席番号が振り分けられた完全指定席。

並んだ順に入場だったが客が密集しないようにロープが張られ床のマークに沿って進むよう繰り返しアナウンスされるなど、間隔を空けた列形成がきっちりコントロールされていた。接触を防ぐため、スマホの電子チケットをスライドするスタッフは手袋を一回ごとにアルコールで拭いていたり、特典のマスクはテーブルに置かれたものを客が自分で取るなど、感染症対策に取り組んでいて安心感があった。その徹底振りに応えるように、席で開演を待つ客も一席空けているとはいえ人の声がほとんどしないほど静かだった。

 

KT Zepp Yokohamaは昨年オープンしたのでコロナのない世界を知らないのか…とか、柿落としDIR EN GREYの無観客配信で素晴らしかったなあと思いを巡らせていた。

配信ではわからなかったが、フロアは意外にも横長でステージから一階最後列でも距離が近い。

外から見た印象もスタイリッシュで、入口道路側がガラスだったり扉の内部も天井が高く開放感があり広々としていたので、ここまで距離が近く感じられるのは嬉しい誤算だった。

 

開演10分前からtoeのI Dance Alone(Light On Light Mix)が流れる。時雨のライブで開演の直前に流れるのはお馴染みの曲だが、5分前くらいだったような。ちょっと早いなと思った。

警告音のような出囃子が響くと、暗いステージに真っ白なフラッシュのなか3人がそれぞれの位置へ。

 

1. 鮮やかな殺人 

2. テレキャスターの真実

配信ライブが#4だったので続けて2曲が意外だったのと、PA卓となりの席で音が綺麗だったり演出も全部見えて映像や夢のなかにいるようだった。劇場でベースを意識して聴いていたので、この日もベースがすごく良く聴こえる気がした。

しばらくライブしていないはずなのに、歌声も楽器も本当に素晴らしくて、なんでこのライブもっと観れないんだろうと思ったり。今思えばもったいないんだけど。

 

3. トルネードG   

歌い出しのように、ぼんやりした頭の暗闇を切り開くようだったこの曲。ライブでやるのは本当に久しぶりで、10年以上通い詰めているけど初めて聞けた。

青い雨が降り注ぐステージの演出が本当に見事で、曲の世界を増幅させていてとても引き込まれた。

 

TK「お久しぶりです。凛として時雨です。慣れない環境ですが、最後まで楽しんでください」

フロアが拍手するのを見て、3人も拍手。徐々にピエールさんとTKさんが手を高く上げていったので、拍手もどんどん大きく長めだった。

 

4. Enigmatic Feeling
赤い柱が檻のようでとても格好良かった!

 ギターがぐわんぐわんするエフェクトもソリッド。345さんの歌声も伸びやか。ドラムが一音一音弾けるよう。

TKさんは夕日のような茜、345さんパートは水色のような照明が多い印象で、ひとりの心情を情熱と冷静ふたつの側面で表しているようだなと。

近年の時雨ツアーは開催地の思い出もセトリに組み込んでいる…ように思う。PSYCHO-PASS2の主題歌でこの曲が初めて演奏されたのがパシフィコ横浜なので。

https://www.barks.jp/news/?id=1000108171

ダブエスという音楽アプリゲームでもこの曲入っているのでそれと合わせたのもあるとは思うけど。

 

5. SOSOS

この曲もゆかりの場所シリーズで、レコ発ツアーのファイナルをパシフィコ横浜でやったこと思い出した。

メンバーが赤で照らされ、バックが黄色の放射。すごくSOS。


6. Sitai miss me

カーテンに照明をあてて模様を自作VJ的な。ドレープにエメラルドグリーンが綺麗。

したいこと去年も今年もいっぱいあったし、楽しみは全部無くなったのに忙しくて、機械的に仕事をこなして感受性なくなってしまったので…。求めていた曲だったし、響きすぎてしんどい…嬉しかった。この曲もhelp me。

 

7. Perfake Perfect

映画館でどこよりも早く聴かせてもらったり、フラゲ日にライブで聴けるの何より焼きつくので嬉しすぎる。お芝居のなかで鳴っているのももちろん良かったけど。

紫と水色の光が放射状に広がる演出。


8. abnormalize

会場の近辺を散策していたので、作られたビル街とPSYCHO-PASSの相性とても良いなって思ってた。

何度聴いても格好良い…サビがドミネーター色の照明だと気づいてテンション上がった。

ホログラムの歌詞に合わせて照明をキラキラさせるのどの会場でも見事なのだけど、ここでは、ステージ上部のライトが客席からすべて見えるように斜めに配置されていて、すべての照明を様々な色で点滅させてホログラムにしていた。新しい会場ならではの眩さ、楽しすぎた。


9. I was music

真っ赤な照明がよく似合う。

TKさんは撃ち抜くところフロア指したり、僕のここからここまでは、で、右手でステージを指すなど。


10. DISCO FLIGHT

座席があるので開演まで座って観るのか立つのか気になってたけど、わりと早めにTK側は7割スタンディング。正確はないけど、後ろから2列目で気兼ねなく観れたし、客が様々な楽しみ方していて良い景色だなと思ってた。

イントロでピエールさんがいつも通り煽りまくっていて良かった。ミラーボールがなかったので、白い照明をぐるぐると壁などにも投影。

 

TK「ありがとう。ドラムス、ピエール中野

ステージを去るふたり。すっかりないものだと思って油断してた!コールアンドレスポンスは出来ないけど、声は出せなくても終始あたたかい拍手や手を挙げるなどのリアクションで和やか。以下MC


Pタイム

「ご紹介いただきました。ピエール中野です!

え〜換気タイムです!

一曲目、街録とかアーティストブックで言ってるのでご存知かと思いますが、鮮やかな殺人、叩き切りました!

始まるまで大丈夫かな…って思っていたんですが、絶好調と言えるでしょう!

あまり長く話すのもどうかと思うので…そろそろ。

時雨のライブはヒリヒリして…そこがいいんだけど、ピエールのMCはほっこりタイムだと言われています。美味しんぼのコラージュとか。ヒリヒリと張り詰めた空気がほっこりするドラムやります」

カラフルな照明を独占するどんぐりころころピエール中野アレンジ。からの白フラッシュで怒涛のドラムソロ。


11. laser beamer

ギューン…って準備的なギターで緑色のレーザーが位置につくところから最高なこの曲。音のような鋭ささえ感じるレーザーが一番後ろの壁まで届いていてめちゃくちゃに感動した。

laser beamer

totemo

saikou


12. DIE meets HARD

余韻のようにハウリング長め。

ステージに直立したライトが横一列で赤く光る。

歌詞のウイルスは、ブルース・ウィルスのことなのに、ウイルスがざわざわしてるのでコロナのことかと…ブラックジョーク的な選曲なら面白すぎるなって笑いそうになった。

 

13. Telecastic fake show

今回はこの公演しか行かないので、観たこと全部覚えようとメモしていたけど(読めたものではない)、フェイクショーのイントロでブチ上がって椅子に叩きつけた。

どんどん格好良くなっていく…進化が止まらない曲…

 

14. TK in the 夕景

#5のレコ発とはまた違って聴こえる。

未来がこんなだけど、凛として時雨はそれでも今を鳴らしているんだなと。音楽は刹那的なものだと思うけど、本当に瞬間のような音を鳴らすバンドなので、ライブをこの日この場所に観に来れて本当に良かったなと思った。

 

時雨MC &物販紹介

 

TK「こんな状況で、ライブをするのも来ていただくのも大変ですが、座っている人も立っている人も最後まで楽しんでいってください。そして、とにかく、安全に帰ってください。これからの色々な音楽に繋がっていくと思うので…

あれとか、それとか…ね。(345さんを見ながら両手パタパタしてた)、良い思い出にして頂けたら。

メンバーを紹介します。

ベースボーカル中野…

こっち?こっち?(真っ直ぐ伸ばした右手で345さんかピエールさんかってしてた笑。ふたりはえっ?て感じで見てた)

中村美代子さんです」


345「グッズの紹介をします……久しぶりだ。

としてととして…?攻めたデザインのバッグを作りました。ポケットいっぱいあります(喉枯れでちょっと止まる)」

TK「大丈夫?お客さん喋れないから中野くんが変わりにしゃべります(無茶振り)」

ピエール「うん…(しばらく沈黙)

345ー!会いたかった!待ってた!素敵!買ったよ!」

345「笑。あとタオルとか、リフレクターとか…光ります。

そうそう、夜に目立つTシャツ作りました…(客席を見て)あ、着てくれてる。暗いところで光ります」

TK「二人はお揃いなんだね」

ピエール「TKも着てインスタにアップしてよ!俺、それスクショ撮ってストーリーに上げるからさ」

TK「…うん…」

345ピエール「絶対しない笑」

TKさん誤魔化すようにスポットライトから外れて暗闇へ

345「凛として時雨じゃないってさっき初めて知ったんだけど笑」

ピエール「わたくしもさっき初めて知りました」

345ピエール「ラブ…なんだっけ…トルネード……????」

暗闇から現れたTK「サディスティック」

345ピエール「なんで普通にさらっと言えるの笑」

345「えー…今日は来てくださってありがとうございます。またお会いしましょう。凛として時雨でした」

 

TKさんが、ちょっと和やかにしすぎた…みたいに項垂れていて察した。

15. 傍観

一気に温度が下がる。暗闇に赤く浮かび上がるステージ。

最後の瞬間を絞り出すようなアウトロ。三者三様で狂っていてこの瞬間を焼きつけたいと思った。

345、ピエールが去ると、中央でギターをかき鳴らすTK。糸が切れたようにギターを床に置くと、真ん中で大きく合掌して一礼、去り際にまた大きく合掌して一礼と、先程のMCのようにみんなの無事を願っていたのかなと。

 

入場の慎重さと同じく、帰りも規制退場。一気に出口に固まらないように、インカムで出口の状況を確認しながら列ごとに細かく調整していた。

友人がすぐ近くにいるのは知っていたけど、一言も発さず、軽く会釈してすぐさま会場を後にした。

 

外に出ると、身体中の細胞が音で震えて淀みがなくなったようにすっきりとした気分で、水や米のように私にとってなくてはならないものだと思った。耳鳴りがするのも、あの瞬間が本当にあった証のようでとても嬉しかった。

ライブとライブハウスがこの先の未来もずっと在り続けてほしい。