ti-ti.uu「私生活#4」@晴れたら空に豆まいて 感想
2021年5月29日、代官山晴れたら空に豆まいてにて、凛として時雨の345さんと、なるけしんごさんによるアコースティックユニット、ti-ti.uuのライブが行われた。
2020年3月に「letter」が発表されそのレコ発ツアーが予定されていたが中止、新たな作品として「dawn」とそれに伴うツアーが発表されるも中止になり、有観客でのライブは昨年1月以来。ワンマンライブとしては2019年の東京都民教会以来。
ツアーはなくなったが、コロナ禍の間、無観客の配信ライブが2度開催されている。以前から演奏されていたのもあり「letter」の収録曲は馴染みの深いものになっていたが、今回のライブはチェロとフルートが入る編成だと発表され、しばらく経って「dawn」の発売が決まったのもあり、どんなライブになるのか全く予想できないまま当日をむかえた。
晴れたら空に豆まいてはti-ti.uuが初めてライブを行った場所であり、以降も魅力的なイベントに度々出演している。駅からほど近い立地にも関わらず、環境音が聞こえない静かなハコで、薄暗く、居心地がとても良い。音数が少ないti-ti.uuの音楽が一番良く響くライブハウスだと思っていて、ここでのライブはほとんど通ったくらいお気に入りの場所だ。
扉をくぐるとステージから距離を取ったテーブル配置や配信を担当するスタッフが準備する姿に、客を入れてライブが出来るまでになった苦労に思いを馳せた。
土曜日のワンマンにしては会場に来ることが出来た客は少なかったが、ステージに間接照明や生花が飾られるなど華やかな様子が確認できて配信ライブにも期待が高まった。
開演を待つ間、客同士の会話がとても少なく静かな会場で、楽屋から345さんの笑い声が微かに聞こえるなか、客が各々この日から発売された「dawn」を読み耽る姿が印象的だった。曲について2人がコメントを出し、対談やお写真など読み応えのある冊子で、音楽を聴く前の浸透圧的な過ごし方ができたし帰りの電車でよい余韻に浸れた。
暗転し暗闇に包まれ開演。
SEはなくカジュアルだが黒一色でシックな衣装のふたりが静かにギターを抱えて、まずはいつものti-ti.uuで演奏。
過去のライブに比べて配信があるためなのか明るいと思ったが、少ない明かりのなか、ふたつのギターの旋律と345さんの歌声にひんやりと心が静かになっていく…3曲目で新曲きてテンション上がってしまったけれども。序盤4曲でふたりのターンが終わり、ここでも特にMCはなく、今回の特別なサポート、フルート山本紗織さん、チェロ吉良都さんが入場。吉良さんは音源や教会ライブに参加されているが、フルートが入るライブは初めて。
コーヒーのアウトロでユニゾンが痺れた。初めてお披露目された、ゆくさきは映画的というか。今日も、では夜の底〜からの切迫した感じと終わり方が良かった。白い月、配信でこの曲だけモノクロになる演出で、連なっている白と黒…という歌詞に合わせてるのかな。なるけさんのギターが木琴みたいな音で、オケっぽさ増し増し。最後に笑っている月の形が浮かぶような可愛らしい音の重なり方。ドアは345さんがギターを置き歌のみで、フルートで世界が広がりチェロで深まるのが素敵だった。
atoは初披露で大好きになった曲なので、イントロからこの編成で聴ける嬉しさで震えてた。なるけさんの心音のようなギターに吉良さんのピッチカートがユニゾンして、静かすぎて心臓の音が聞こえる表現だと解釈してるけど、静かな夜に遠くの橋梁を渡る電車の音が聞こえる様子が浮かんだ。音が重なることで見える景色が変わるの良いなあと。ドラマチックに変化していく曲だけど音が増えてさらに世界広がっていて素晴らしかった。
一転して優しい雨に包まれるような、夜の明かり。自室でひとりで過ごす豊かな時間のようで生活の美しさが色濃くて好き。配信では歌詞に合わせた多重光の演出が美しかった。
2曲ごとにありがとうございますと言って下さった345さんMC。なるけさんが合いの手入れるところもあったけど、3人に見守られながらひとりでお話されてました。
「こんばんは。ti-ti.uuです。
配信を見てくれている人もありがとうございます。
今日は久しぶりのワンマンに、フルート山本紗織ちゃんと、チェロの吉良都ちゃんが参加してくれて、(パチパチ👏)ありがとうございます。
はい。新しく今日からdawnという音源を発売しました。ぜひぜひ、ぜひぜひ、ぜひぜひ、ぜひ。こう、冊子になってて、ね。写真とかふたりで喋った対談とか、入ってるんで、ぜひ。読んだり聴いたり見たりしてみてください。
ここまでバーってやって、MCもなく進めて…残りあと2曲です。あっという間なんですけど。
今日聴いてくれた皆さん、本当にありがとうございます。有り難いです。またどこかで、会えたら…会いましょう。ありがとうございました。ti-ti.uuでした」
12曲目はおわり。ひとつの物語のようで最後の音まで美しい。最後は、たんたん。ここまでti-ti.uuの曲は夜を感じることが多いと思っていたが、この曲は朝。ひんやりとした夜に浸っていた身体が、だんだんと明けていって日の光でじんわり温まっていくような。たおやかさえ感じる345さんの歌声がとても素敵だった。
アンコールの拍手してみたけどアンコールはなかったので配信と内容は変わらず。
客席は離れていたけど写っていて、闇に包まれて見えなかったけどそこまで暗さは感じなかったです。手元のドリンク普通に見えたし。
ステージ前にいたカメラマンは2人。両端をキープしていて私の席から気にならなかった。それであの絵になるのはほんとすごいと思う。
345さんはずっと客席のお客さんを見て歌っていて目がばっちり合う感じではないけどひとりひとりに歌ってらした。配信でもそう感じてくれたら嬉しい。
なるけさんが終演後すぐ出口に立って、私もすぐ帰ったのでその後どんな様子かは見てないけど、お客さんひとりひとりを見送ってくれてたみたい。優しい。
素晴らしいライブを開催して下さったti-ti.uuとサポートのおふたり。スタッフの皆様に感謝です。
1.ゆうどき (letter)
2.待つ間 (tone)
3.material (dawn)
4.窓 (tone)
5.コーヒー (door)
6.ゆくさき (dawn)
7.今日も (dawn)
8.白い月 (dawn)
9.ドア (door)
10.ato (letter)
11.夜の明かり (letter)
12.おわり (tone)
13.たんたん (dawn)